わたしの意地悪な弟

「少し早いけど、誕生日プレゼント。樹にあげる」

「ああ。ありがとう」

 彼は定型文のようにそう答えた。

 感情ののってない言葉に、わたしの胃の奥がずたずたに切り裂かれ、呼吸するのも苦しくなってきた。

 樹の誕生日のことを考えていた時間が否定されたような気がしたのだ。

 わたしは衝動的に再び泣き始めた。

 樹はきっと迷惑なことになったと思っているだろう。

 だが、意外なことに静寂を破ったのは樹の声だった。

「さっき、半田先輩と一緒にいるのを見たけど、何か言われた?」

「半田くんは関係ないよ」

 しゃくりながら、何とかそう言葉を発する。

 彼に何か言われても、わたしが泣くことはなんてない。

 わたしの心をここまでかき乱すのは、樹だけなのだ。

 それがどんなに他愛ないものでも、無関心を示されると、心の中が締め付けられるように苦しくなる。