わたしの意地悪な弟

 八つ当たりととらえられてもおかしくないほど強い口調で言い放つと、その場で屈みこんだ。

 手でコーヒーの粉を集めようとするが、まとまらず不規則な塊を形成する。

 何でこんなになってしまったのだろう。

 自分で兄弟になりたがっていたはずなのに、彼から弟としての態度を取られると苦しさだけが増す。

 なぜわたしはこうも利己的なのだろうか。

 少し前なら、きっと喜んでいたはずなのに、この半年でわたしと樹の関係は大きく変わってしまった。

 そもそもなぜわたしは兄弟になりたいと思ったのだろう。

 わたしの体に影がかかる。

 顔をあげると掃除機を手にした樹が立っていたのだ。

 わたしは手を離すと、後退する。

 彼は掃除機の電源を入れると、丁寧に吸い取っていく。

 弟がほしかったわけではなかった。

 わたしには妹がいたし、日和と一緒にいるのは楽しかった。

 だから、兄弟をほしいと思ったことは一度もなかった。