わたしの意地悪な弟

「日和は?」

「買い物。もうすぐ帰ってくると思うよ」

「分かった」

 彼はリビングを出ていこうと背を向けた。

 だが、樹はぴたりと動きを止めた。

「プレゼント、ありがとう」

 朗読をするような淡々とした声色に、彼が誰からそれを聞いたのかわかった気がした。

 日和からメールで何か言われたんだろう。

「うん」


 ありがとうと言われた手前、受け取ってはくれるだろう。

 だが、彼が喜んでくれないものをあげても仕方ない。

 わたしはプレゼントを買ったことを後悔していた。

 自分の気持ちになんて気づかなければよかった。

 悲しみが固まりとなりわたしの目からあふれ出た。

 わたしの手にしていたコーヒーの袋がてから滑り落ち、台所に散らばったのだ。

「姉さん?」

 樹が驚いたように振り返る。彼はわたしがコーヒーの袋を落としたのに気付いたようだ。


「片づけるから部屋に戻っていたら? あとで作っておくよ」

「いいから」