日和は携帯を取りだすと、メールをうっていた。
そして、携帯を鞄の中に片づける。
「わたし、問題集を買うのを忘れていたから戻るね」
「なら、わたしも付き合うよ」
「いいよ。何を買うか決まっているし、すぐに終わるから。先に帰っていて」
日和にそう説得され、わたしは一足先に家に帰ることにした。
玄関の鍵は閉まっていて、家の中には誰もいなかった。
両親は親戚の家に行っていた。
樹は分からないが、どこかに出かけているようだ。
リビングに入ると、暖房が切れていたためか、外ほどとまでは言わないまでもずいぶん寒い。
わたしは喉を潤すためと、冷えた体を温めるためにコーヒーを作ることにした。
コーヒーメーカーを軽くゆすぎ、コーヒーの粉を手にしたとき、リビングの扉が唐突に開く。
そこにはコートにグレーのマフラーをした樹の姿があった。
彼はあからさまに怪訝そうな表情を浮かべた。
わたしの胸が痛む。



