わたしの意地悪な弟

 多分、何度もキスをしてきて、わたしの心をかき乱した樹と佐々木さんから聞いた話を重ねていたのだろう。

 そして、わたしの心に錘が増えた。

 放課後、わたしは短くため息を吐く。

「今日は樹君と帰らないの?」

「どうだろうね」

 約束しているわけでもない。

 彼は今朝もいつの間にか家を出ていたのだ。

「昨日、喧嘩でもしたの?」

「そういうわけじゃないの。なんかややこしくて」


 半田君に告白をされたのと樹の行動に何らかの関連性があるか分からない。

 だが、樹はそれを知っていて、わたしと顔を合わせようとしない。

 利香は何かを感じ取ったのか、わたしの肩を軽くたたいた。

「無理には聞かないよ。千波が抱えきれなくなったら、いつでも言ってね。二人ならそのうち仲直りできると思うよ。樹君の靴箱を確認して帰ろうか」

 わたしは利香と一緒に教室を出た。昇降口につくと、利香が樹の靴箱を確認してくれた。戻ってきた利香は首を横に振った。

彼はすでに靴を履きかえ、学校を後にしたようだ。

 他愛ない言葉を交わし交差点に到着すると、声をかけられる。そこには日和の姿があった。