わたしの意地悪な弟

 放課後、樹に言われたとおり教室で待っていたが、彼は迎えに来なかった。
 携帯を取りだしても、彼からのメールは届いていない。

「どうしたんだろうね」

 一緒に待っていてくれた利香も不思議そうに首を傾げた。

「靴箱に行ってみるよ」

 わたしたちは荷物を整えると、二階の樹の教室がからになっているのを確認して、一階の昇降口に行く。だが、樹の姿はどこにもない。

 家に帰ったのだろうか。

 電話をしてみようと携帯を取りだしたとき、昇降口の外を覗いていた利香が声を上げる。

 彼女はわたしを手招きすると、右手のほうを指さした。そこは自販機がある靴でも上履きでも出入りがしやすい場所だ。

 ベンチがいくつから並んでいて、樹の姿があったのだ。

 彼はベンチに座り、項垂れていた。

 わたしは慌てて樹に駆け寄った。昨日の今日で、彼が体調を崩していてもおかしくはない。

「体調が悪いの?」