わたしの意地悪な弟

 わたしは目を覚ますと制服に着替え、リビングに行くことにした。リビングで樹に遭遇した。

 昨日は昨日だと考えて、自分の席に着こうとすると、優しい声が届いた。

「おはよう。昨日は悪かったな」

 わたしは思わぬ言葉が届いたことから反応に困る。だが、すぐに気持ちを立て直して、頷いた。

「気にしないで、体調は良くなった?」

 樹は頬を赤らめて頷いた。

「よかった」

「今から学校に行くんだよね。準備してくるよ」

「今日休んだら?」

 驚きの返事を交わしたのは母親だった。

「わたしもそう思うよ」

「大丈夫。もう良くなったから」

 彼はそう言うとご飯を食べ終わり、準備をしに部屋に戻った。

 樹が少し前の彼に戻ってくれたみたいだ。利香たちには悪いが、昨日の約束を選ばなくて良かったかもしれない。

 わたしがご飯を食べ終わり、玄関に行こうとすると母親に呼び止められる。

「体調が悪そうだったら早退するように伝えておいてね」

「分かった」

 木崎君にも念のため頼んでおいたほうがいいだろうか。

、樹がちょうど階段を降りてきた。

 彼は照れたように会釈をした。