わたしの意地悪な弟

 日和はあごに手を当て、何かを考えるようなしぐさをしていた。

「眠ってなかったって何していたんだろう」

「勉強じゃないかな」

「二学期の中間テストだってよかったし、勉強ばっかりしなくてもいいと思うんだけど」

「さあね。樹って意外と馬鹿だしね。お姉ちゃんがついているなら、わたしはもう少しして見舞うよ」

 わたしが言えば反論されそうなことを言い、日和は自分の部屋に戻っていった。

 樹の部屋に入ると、さっきまで閉じていた彼の目は開いていた。

 彼はゆっくりと起き上がった。

「ごめん。起こしちゃった?」

 樹は首を横にふる。

「日和と話す声が聞こえたから。今日、約束があったんだよな。本当にごめん」

 彼は頭を下げる。

 彼の頬の赤味も心なしか緩和した気がする。