わたしの意地悪な弟

「分かった。いい報告を期待しているよ」

 樹はわたしとのことをどうしたいと思っているんだろう。

 そのとき、わたしの机に影がかかる。

 顔をあげると亜子の姿があった。

 彼女の頬は赤く染まり、目はうるんでいる。

「今朝、岡部君と一緒になっちゃったんだ」

 その言葉に促され、教室の前方を見ると、先ほどまでいなかった岡部君の姿がある。

 二人は一緒に花火を見に行ってから、夏休みに二度ほど遊びに行ったようだ。

だが、それでもその関係は友人同士のままだ。亜子自体は告白しようとしたが、幾度となく失敗を繰り返したらしい。

 彼女はわたしの机に手を乗せる。

「わたし、今日、告白する」

「うまくいくと良いね」

 わたしと利香はそう返す。

 彼女は頑張ると意気込んでいた。

 彼女はそれからチャンスを伺い、昼休みのうちに彼に話があると約束を取り付け、一緒に帰ることになったらしい。