特に自分の気持ちに気付いてしまってからはそれが顕著で、どんどん自分に自信がなくなっていった。双子の姉が振り返ることなく前を向いて歩いていく姿に昔は憧れを抱いていたはずなのに、それも黒のクレヨンで塗り潰されたみたいに嫉妬が渦巻いて苦しくなると同時に、そんな自分がどうしようもなく嫌だった。こんな私が隣にいていいはずがないと何度も思ったのに。
「朔良が楓のこと好きって分かって、遠くに行ってしまった気がした。私独りぼっちになったかもしれないって思った。置いて行かれた気がして自分の気持ちに蓋をしたら、私の好きはどんどん醜く歪んでいった」
それでも違う世界に生きる人でも私は傍にいたかった。だから、その度に置いて行かれたくなくて必死で笑って合わない足並みを揃えるように歩いた。それなのに、心に積もるものは息の仕方さえも忘れさせる。
「私が話してほしいって言わないと、朔良は話してくれないの。楓には話してくれること、私には話してくれない。傍にいるよって言わないと見てくれない。そういうこと一つ一つが悲しくて、苦しくて。こんなに狡くて卑怯な中でも消えない私の好きはこの二年近くて濁ってしまった!」
目の奥が熱くなるのが分かる。薄く膜の張った視界が揺らいでいく。もう一度瞬きしたら落ちそうなそれに抗うように教室の天井を仰ぎ見る。
「今だって本当は、朔良の隣は眩しくて一緒にいていいのか分かんないのに、好きなんて言えないよ」
瞬きせずとも零れ落ちた。小さくて震える声が本当に木花に届いたのかも分からない。だから、言いたくなかったんだ。私がこんな人間なんだって思い知らされるから。ぽたりぽたりとスカートにシミを作る。それが私の心のシミみたいだとスカートを握りしめた。
「一緒にいるための資格なんてありませんよ......って言わなくても、双葉さんなら分かっていますよね」
膝に置いていた手の上に透けるような手が重なった。いや、重なったように見えた手は通り抜けた。その手の主を辿るように目線を上げると、机から移動した木花が私の横にいた。
「双葉さんは彼を、お姉さんを、そして元恋人を、人として尊敬しているのですね」
綺麗な言葉で象られた言い方に首を振る。そんな綺麗なものじゃない。自信がないなんて言い訳なんだ。何もない自分が悔しくて嫉妬してるだけだ。


