「人のこと一生懸命になれるのはいいことだよ。でも、今回は双葉が突っ込まない方がいいかな」
「そうかもね。クラス違うし、普段は帰る時間も違うし」
「そんなぁ......」
なんで私は二人とクラスが違うんだろう。同じクラスだったらもっと一緒にいられたのにと悔しくなる。
「双葉にも双葉の人間関係があるでしょ。宇津井君だっているんだし、私に感けてると愛想つかされちゃうよ」
「分かったよ。でも、避けられる以外で何かしてきたりしたら絶対言ってね?」
「はいはい、大丈夫だよ。すぐにこんなの終わるから。朔良も友達いるんだから、私とずっと一緒じゃなくていいからね」
「まあ、ずっと一緒は無理だからね。部活一緒だし、帰りは一緒に帰ってあげるよ」
「ほんと癪に障る言い方しかしないよね? 帰ってくれなくて結構です」
二人がやいやいと言い合いを始める。嗚呼、なんでだろう。二人が作ったものじゃないって分かってるのに、私と二人の間には決定的な溝が出来てるんじゃないかって思ってしまう。こんなこと思いたくないのに、私はおかしいのかな。圧倒的に減っていく私と二人との時間が、私を独りにしていく気がした。
「今日はありがとう。お陰で楓と話せたよ」
家に帰ってご飯を食べ、お風呂からも上がって一息ついた頃、司に電話をした。折角、私のために楓と帰らせてくれたのだからきちんと報告しておこうと思ったのだ。
『良かったな』
「うん、同じクラスに朔良もいるし大丈夫そう。だから、明日は一緒に帰ろうね。あ、でも、その前に一緒にテスト勉強しよ。私テストやばいの」
電話越しに笑う声が響く。司の笑顔を想像して、沈んでいた気分が上がる。
『人の心配してる暇なかったな』
「ちょっとそれ、どういうこと? 今から頑張れば大丈夫だし、たぶん......」
『たぶんって。分からないとこ俺が教えるよ。あーでも俺、社会は分かんねえから』
「やった。大丈夫大丈夫、社会は得意だから。任せて」
沈んでいた気持ちが、司と話していると溶けていくのが分かる。気が付いたら一時間も話していて、テスト勉強しないといけないからということで電話を切った。


