「双葉と.......古館? なにしてんの?」
振り返ると怪訝そうな表情の司がいた。そりゃそうだ。中学に入ってから朔良と同じクラスになったことがないから、別の小学校だった司は私が朔良と幼馴染だということを知らない。
「待ちきれなくて外で待ってたの。そこに朔良が家から出てきたから丁度話してたんだ。朔良とは見ての通り、家が近いから幼馴染なんだよ」
「まじか、一緒にいるの初めて見たから吃驚した」
「あはは、よく言われる。鞄取ってくるからちょっと待っててね」
「りょーかい」
浴衣が着崩れない程度に急ぎ足で玄関に置かれた鞄を取りに戻る。リビングにいるであろうお母さんに大きな声で『行ってきまーす』と言うとすぐに『いってらっしゃい。気を付けてね』という声が返ってきた。それを聞いてすぐに家を出る。
「よし、司いこ!」
玄関の扉の前で片手を上げる。門の前で朔良と話していたらしい司がこちらを見る。
「元気がいいな。その調子で体力持つのか? 家で待っててって言ったのに外で待ってるし」
「だいじょーぶだよ。すっごく楽しみにしてんだから」
駆け寄ると、手を握られた。自然を頬が緩む。司と話していたらしい朔良がまだいたから声をかける。
「じゃあ、朔良は塾頑張ってね」
「うん、楽しんでおいで」
朔良と手を振って別れて、朔良とは反対方向の道へ司と歩き出した。
「幼馴染って言っても古館と今でも仲良いんだな」
「うん、昔から一緒だから弟みたいなものだよ」
楓が一番しっかりしたお姉ちゃんで、私が二番目。朔良は手のかかる末っ子が一番似合うと思うんだ。私よりしっかりしていて、頭も良いはずなのに、甘えたがりだから。友達や親友っていうより、姉弟って言った方が私達三人の関係は合ってる気がする。
心の底から出た言葉だったのに、そっかと言った司の声はとても乾いた響きを持っていた。


