体育委員の主な仕事は授業前にその日使う体育用具を出す雑用係だ。でも、他にも大きな仕事があって、9月上旬にある体育祭の為に団ごとに分かれて準備をしなければならない。メインの大変なことは三年生が殆どやるけど、それでも二年生の私達もそれぞれの学年をまとめる中間的存在としてやることは多い。
そのために一学期から何度か集まりがあったり、夏休みも何度か学校に行かなければならなかった。本来なら面倒極まりないことだけど、ジャンケンで負けて体育委員になったのは運が良かったのかもしれない。
それにイベントごとは何より準備が一番楽しいものだ。思ったより楽しんでやってる自分もいた。それに夏休みも司に会える。
「じゃあ、今日は終わり。解散!」
三年生の団長が声をかけると、みんなが近くの友達と話しながら帰る準備を始めた。残ってだらだらと過ごす人もいれば、早々に学校を出る人もいる。中にはこれから遊ぶために場所を移動する人もいるようだ。
「双葉ー、帰ろうぜ」
「うん、今行く」
もう教室のドアの辺りにいた司の元へ慌てて駆け寄った。夏休みに入ってからは、司とは同じ方向ということもあって、よく一緒に帰るようになった。それが最近の一番の楽しみ。
「今日はハードスケジュールだったな。途中疲れてるみたいだったし、大丈夫か?」
「えへへ、バレてたか。全然大丈夫だよ」
「それならいいけどさ。暑さでやられるやつもいるから無理しないよーに」
「ありがとう。司もね」
私の様子まで見ていてくれたなんて思わなかった。司には他愛無いことだとしても胸がいっぱいになるほど嬉しくて、自然と笑みが零れる。すきが、溢れていく。どうしよう。幸せになりすぎると、苦しくなるって初めて知った。
二人で校舎を出ると、真夏の日差しが肌を刺す。いつも二人で帰るわけじゃない。他にも一緒に帰る人がいることも多くて、大人数でぞろぞろと帰ることの方が多い。でも、今日のように二人で帰る日もある。
嬉しくないなんてことあるわけない。でも、普段のように気軽じゃない。偶に手がぶつかってしまう時は、当たった部分が熱を帯びる感覚がして全身に力が入るのが分かる。不審に思われないか気が気じゃなくて余計に力が入る悪循環。沈黙だって苦しい。普段気にも留めない小さなことをいちいち気にしてしまう私が恥ずかしい。


