物心ついた時にはいつも一緒にいた。ピアノ教室に通い始めたのも同じくらいだった。体験に連れて行った時に楽しそうにしていたから通わせることに決めたんだと、お母さんがいつだか言っていたっけ。
でも、私はピアノより楽しいことがたくさんあって、すぐにやめてしまったんだ。そのうち、朔良はピアノの才能を開花させて、楓は夏休みのポスターで賞を貰った。それが小学校低学年。
「そらくんに誘われたの! 二人もいっしょに外へ遊びに行こうよ」
学校が終わるとそそくさと帰るのが二人だ。それぞれ友達と帰って来るけど、放課後は私達の家か、朔良の家でみんなで集まるのが習慣。今日は私達の家だったらしい。リビングの扉を開けると思い思いに過ごす二人がいて、一緒に帰ってきた友達との遊びに誘った。
「わたしパス。焼けたくない」
「ぼくも運動苦手だからいいや」
最近はこれが常だ。外で汗をかきながら遊ぶのが好きだった私と家の中でゆっくりする方が好きだった二人では、一緒にいることが減った。
「分かった。じゃあ、あたしは遊びに行ってくるねー! 行ってきまーす!」
ランドセルは適当に床に投げた。後でお母さんに怒られるかもしれないけど、まあいいや。外にそらくんを待たせてるから時間がない。
「いってらっしゃい」
「気を付けてね。ケガしちゃだめよ」
二人が笑顔で見送る。好きなことが違うんだから仕方ない。そう言い聞かせても、リビングの扉を閉めた瞬間虚しさが私の心を包んだ。単純な私は遊びに出かけてしまうと、そんなこと忘れて陽が落ちるまで遊び耽ったけど、それでもその瞬間はいつも寂しさを覚えた。
みんなと外で遊ぶのも好きだけど、二人と遊ぶのも好きだからそれがなくなるのは悲しい。ちゃんと三人で遊ぶ時間も大事にしたかった。だから、遊びに誘われても行かない日を作った。


