思ったより彼女との雑談が楽しくて、終始部活の間も今度はいつ会えるだろうかと心がそわそわしていた。
昼食の行きと帰りには見なかった。部活が終わった後にまだいるだろうか。ああ、でも、朔良を放っておくわけにもいかないか。明日また同じ時間に会えたらいいんだけど。
「もうっ、双葉ってば、聞いてるー?」
部活の友達で一番仲の良い砂原彩香(サハラアヤカ)が不満そうに頬を膨らませている。どうやら私は上の空だったらしい。
「ごめん、聞いてなかった」
「やっぱり、聞いてない!」
早めにご飯を食べ終えて、体育館に戻ってきたからまだ二人きり。隅の方に座り込んで話しているのに、反響音が聞こえるほどに彩香の声は良く通る。
「だからね、部活終わった後で未希(ミキ)達とファミレス行こうって言ってるの。双葉も行かない?」
「あー、ごめん、無理」
「ええーっ、なんでー!?」
「朔良と帰るの」
「朔良って古館君? 幼馴染なんだっけ。あれー、部活何も入ってないよね? なんで学校に居るの?」
不思議そうにしながら彩香は水筒に口をつける。体育館の中で飲んだらダメだって普段散々言われてるのになあ。まあ、私達以外いないんだから、注意する人なんていないんだけど。
「春休みの間、学校の音楽室に来てるんだよ」
「へぇー、そうなんだ。それにしても珍しくない? 今まで一緒に帰ってることなんてあったっけ?」
確かに、学校での私達ってそんなに関わりがないかもしれない。特に1年は同じクラスじゃなかったし、余計に学校で話すことって少なかった。寧ろ、朔良とは互いの家で会う方が多い気がする。
言われてみれば、学校の帰りに一緒って片手で足りるほどだ。
「うーん、少ないかもしれないけど、ないわけじゃないよ」
「そうなの? そういえば朝、実夏(ミカ)が古館くんと双葉が一緒だったのって聞いたんだけど、どういう心境の変化!?」


