「これで他の人に告白してた疑惑は晴れたね」
「いや、最初から疑ってないけどね......」
「でも、双葉からしたら気になるでしょ。タイミング逃すと聞けないこともあるから」
今日の朔良は本当に饒舌だ。いつもなら言わないこと、全部口にしてくれる。
「ありがとう」
「どーいたしまして。それでこの前、楓だったら良かったのにって言った時にキレたんだね」
納得したようにうんうんと頷く朔良を見て恥ずかしくなる。
「もうその話は勘弁して」
「えーっ、じゃあ、一生言お」
「なんでそうなるの!?」
「嫉妬したってことでしょ? 可愛いじゃん」
ケロッとした顔でなんてこと言うんだ。心臓に悪い。可愛くないわ。
「でも、楓なら良かったって言ったのはごめん。楓は容赦ないからさ、情けないやつだって言ってくれる方が俺にとっては楽だったんだ。悪い癖だね」
あやすように頭を撫でられて、何も言えなくなる。朔良ってやっぱり狡いやつだ。どうすれば私が許してくれるかよく分かってる。嫌なやつ。でも、それでもいいと思ってしまうのは惚れた弱みってやつだなあ。
それからまた続きを話した。いろんな理由をつけてなかったことにしてずっと隠してたこと、ずっとこんな狡い自分知られたくないと思ってたことも打ち明けた。今まで話してこなかったことを埋めるように。朔良はその間ずっと一生懸命私の話を聞いてくれた。
「.......俺たちすごく回り道したね」
全部話し終えて落ち着いた頃、感慨深そうに言った。間違いない。もっとどっちも頑張って叶えようという気があれば、こんなに回り道しなくて済んだと思う。
「そうだね」
此処まで来るのは難しかった。お互いに大事なことを言わなかったから。朔良の考えてることが全然分からなくて、私には解らない話なのだと諦めてさえいた。
「これからはもう少し、素直に伝えるね。私のこんな気持ちなんてって思わずに」
喜びも怒りも悲しみも楽しみも、きみとの思い出なら全て大切なものだから。伝えようと思っても上手く伝えられないこともある。でも、少し手を伸ばせば届くものだってある。だって今、こんなにも幸せな気持ちになれた。
「ありがとう。俺もそうするよ」
春の陽だまりのような穏やかな気持ちのまま、朔良と笑い合った。


