「全然上手くできなくて.......みんなのこと傷つけちゃった......」
朔良のことも、杏子のことも、楓のことも、みんな好きで大切にしたいのに、なんで上手くできないんだろう。こんなつもりじゃなかった。自分の不甲斐なさにどうしようもなく腹が立つ。
それにこんな纏まりもない話を聞いたって、木花には意味が分からないだろう。相談するならもっと相手にもわかるように説明しなければいけないのに、それさえも上手くできない。
俯いて顔を上げられない私は地面を睨みつける。すると、木花の白い腕が私の腕を掴んだ。ように見えただけで、その手は空を切っただけだった。
「ごめんなさい。幽霊だから、掴めるわけないないのにおかしいですね.......」
少しだけ傷ついたように笑う木花を見て、彼女は幽霊なのだと、私たちは本来交わることはできない存在なのだと、言われている気がした。
でも、掴めないと分かっていても、木花は掴もうとしてくれた。どういう意図でそうしたのかは分からないけれど、少なくとも木花は私のことを思っていてくれていると考えていいだろう。
それだけでこの不可解な関係も良いと思える。彼女に声を掛けた時の私の判断は間違っていなかった。
途端に疲弊しきって冷えていた心に暖かなミルクを注がれたような幸せが広がる。今にも零れそうだった涙は引っ込んで、自然と笑みが出た。
「木花はやっぱり優しいね」
「何言ってるんですか。油断するのは良くないですよ。それよりこの場は人目に付きやすいです。この前と同じところでお話しましょう」
こうなることを予想して待っていてくれたのならきっと、私のことをとても心配してくれていた。そう思うだけで目が潤むのが分かった。やっぱり、私は元々結構泣き虫だったのかもしれない。
私が頷くよりも早く、木花は歩き出した。それに続いて私も校舎へと向かった。


