ピーンポーン……。



この時間だから、たぶん彼しかいないだろうな……。



「……どうした?」



ガチャリと音をたてて開いたドアから顔を出したのは、やっぱり彼だった。



「なんかお母さんが、これお裾分けしてこいって言うから」


彼に手渡したのは缶ジュースがゴロゴロ入った紙袋。


お父さんの会社の人からもらったらしく、箱にいっぱい缶ジュースが詰まっていたんだとか。



「え、まじかよ優しいな……このジュース俺好き」



そう言って笑う姿を見て、胸がきゅうっと鳴った。


ああもう、そういうの、心臓に悪いから。







上がっていけばと言われ、特にやることもないので遠慮なくお邪魔した。


私の持ってきた缶ジュースを飲みながら、彼の部屋でテレビゲーム。



「ちょっと~!これ、ひどすぎると思うんだけど」


「いや、それはお前が弱いだけだ」



私ははっきり言うと戦闘ゲームは苦手。


彼いわく、トロいらしい。


一生懸命、頑張ってるんだけどな。



ちなみに今やっているのは流行りのタコが出てくる地面に色を塗るやつ。


せっせと色を塗っている間に、何度も敵にやられてしまう。

 

「あぁっ……!んもう~~」

 

ほらまただ。


結局スタート地点に戻されてしまう。


いやいや、この辺キレイに塗ってありますって。


わざわざここまで戻さなくてもいいでしょうよ。



「お前まじドジかよっ……」


隣では、彼がくくくっと笑う。


そんな彼は器用に敵を相手にしながら塗り進めていく。


あぐらかいてゲームするスウェット姿も様になるとは……恐ろしいものだ。


こんなんでもときめいちゃう私の胸の方がおかしいのか、それとも彼がやっぱり魅力的なのか。


……たぶん後者のほうだと思う。



だからこういう家での姿を日頃見ている私はラッキーで、できれば他の人に見てほしくないと思っちゃう。



「っしゃーーこれくらい余裕だぜ」



結局私たちのチームが勝った。


私は……あぁ、全然貢献してない。


うん、まあ当たり前ですけど。



彼が一番、得点を稼いでいた。