「おい、望月?大丈夫…か?」


バスタオルを引っ張られて、

眩しさに我に返った。


「ん?何でもない、何でもない。」

「なんだよ、また気分悪いのかと思った。」

「だぁいじょうぶっ!それより!

よそのお姉さんジロジロ見るのやめてよね。

恥ずかしいから。」

ごまかそうとして話をすり替えるけど。

「オマエだって、

 よそのお兄さんジロジロ見てんじゃん。」

うぅ~、バレてるよ。

「アンタと一緒にしないでよね。

ちょっと知ってる人に似てただけです」

似てるどころか本人なんだけど、

とてもじゃないけど言えないし。

「あ、そう。

んじゃ、オレなんか食い物買ってくるわ。

望月、何食う?」

「えっと、私は…焼きそばにしようかな!」

「OK!焼きそば大盛りね。」

「大盛りなんて言ってなーい!」

「いいからいいから、無理すんなって」

言いたいことだけ言って、

さっさと走っていった。

「ありがと」
ついさっきのイヤな気持ちを一気に吹き飛ばしてくれる、不思議なヤツ。

一人残された私は、

また日焼け止め片手に悪戦苦闘を始めた。

どうしても背中の真ん中には手が届かない。