「おはよ~。」 


よかった。普通の声が出た。


「お前もうバテてんだろ。体力なさ過ぎ。

そんなんで泳いだりできんのかよ。」


え゛?

今、「泳ぐ」って言った?


「泳げるよ!ってなんで知ってるの…?」


私、話したっけ?

プール行くって言った?


「もしかして、そっちもプール・・・?」


カラカラの喉が急激に乾いていく。

最後まで言えそうにない私を察して、

早川がにやりと笑う。


うそ!

それって、やっぱりそういう意味?


ああ、なんか、頭が回らない。

栄養不足の上に酸素まで不足しているから、

働かせようとする方がムリ。


「オレ、今日部活休みでさあ、

 ヒロから急にプール行くぞとか言われて・・・」


ああそうだ、

二人は中学の時、同じ部活だったんだ…。

なんで気づかなかったんだろ。


その先の話はもう耳に入ってこなかった、

というか聞いていなかった。