翌朝、お母さんが私の体をゆすりながら、


「かりん!かりん!」


って何度も呼ぶ声で、目が覚めた。

珍しいな。

部屋まで来て起こすなんて。

いつもは面倒くさいからって、

内線代わりに携帯鳴らして起こすのに。

わざわざ上がってくるなんて、どーしたんだろ?


「今日って、登校日なんじゃないの?
カレンダーに○付けたのかりんでしょ!?
ねぇってば!!」


お母さんのいつもと違う必死な声に耳を傾けていたら、


「えぇっ!?
登校日―???」


がばっと起き上がってみても、

いったい今日が何日かわからない。

登校日が何日だったかも思い出せないし。

でも、…カレンダーに○つけたのは確かに私だ。

それは覚えてる。


「ちょっと、かりん?聞いてるの?」


お母さんがじれったそうに私の体をゆさゆさ揺する。


「あ、ごめ、今起きる」

「ぼーっとしてないで、早くしなさいよ!」

あきれたお母さんが、私の背中を思いっきり叩いて、部屋を出て行った。


登校日か―。

そんなこと言ってたっけ?

明日早いとかなんとか言ってたけど、

学校あるなんて言ってなかったよね。

しかも、学校で会うのに、なんでわざわざ夕方迎えに来るの?

・・・わかんない。

何考えてんのか、全っ然わかんない。


「かりんー?」


下から、私がまた寝ちゃってんじゃないかって、疑ってるお母さんの声がする。


「はーい!」


考えてる時間なんてない。

とにかく今は、動かなきゃ。

遅刻したらうるさいんだから、あの先生!

それにしても、いつも通りの用意をするだけなのに、

いつもより時間がかかるのは久しぶりだから?

どんどん迫ってくる時間と戦いながら、

やっとの思いでいつもの時間に家を出ると、

外は、うんざりするほどのセミの声と、痛いくらいの日射し。

また、あの坂上んないといけないのかと思うと、それだけで倒れそうだ。

そういえば、この前はホントに倒れたんだっけ。

お姫様抱っこされてる自分を想像して、一気に体温が上がった。

ダメダメ、今、思い出しちゃ。

顔合わせづらくなる。