朱音side


『お母さん!しっ……して!!』


「お………ぁん!!」


あぁ、朱羽と蒼月が何か言ってる。


それでも私は目の前の光景から目が離せない。
前にも見た事がある光景。


忘れられない、忘れる事なんて出来ない。

蒼空が死んだ時を思い出す。


血に染まる妹を抱き締める事しか出来なかった、
幼かった私はその無力を呪った。


でも、


「私が…私が助けないで誰が助ける。」


今の私には力がある。


一度感じた事のある黒い感情に飲み込まれた。


朱音sideEND