真綺side


「アンタさえ…アンタさえ居なければ!!」


「………………。」


何よ、その目。

アンタは「それは間違ってる」と
周りと同じ正論を語ると思ってた。

なのに…それすらしないの?

どうしてよ。
その目は私を理解しようとする目。

アンタは私を理解した上で
私の全てを否定するの?


「うあぁーーッ!!!!」


分かってる。

自分がしている事は間違っている事も
お兄ちゃんが罪を犯した事も。

それでも、誰かのせいにして生きなきゃ
私は自分を保つ事が出来なかったの。


カチャッ…


震える手を抑え、ナイフを握り締める。


「………………。」


それでも目の前の『双姫』は冷静で、
反対に私は涙が溢れる。


何かに引き寄せられる様に
私は『双姫』に向かって行った。


真綺sideEND