双姫 Ⅲ



それから数十分後。


「お嬢様、着きました。」


『ありがとう!』


運転手に扉を開けられる前に自分から降りた。


「うわぁ〜デッカいねぇ!!」


風流な感じの建物。

華道をしてるからなのか『和』を感じる。
呼び鈴も古風だ。


『こ、こうで良いのかな……。』


鈴に繋がる紐を引っ張る。


チリリーン…


なんて軽やかな鈴の音…。
って和んでる場合じゃない!

こんなんで出て来んの!?


ギィ…


木造の扉が開き、誰か顔を出した。


「どちら様ですか?」


出て来たのは
黒髪でメガネを掛けた超イケメンの男の人で、
着物が凄く似合ってる。


『あの、
的場 李樹様はいらっしゃいますか…?』


令嬢らしく…お母さんみたいに問い掛けた。


「的場 李樹なら私ですが?
朱羽さん、蒼月さん。大きくなりましたね。」


その人の言葉に開いた口が塞がらなかった。