「じゃ、また今度にしよっか!」
そう言った奏也の顔はいつも通りの笑顔だった。
「うん!じゃーね!」
やっぱり気のせいだったみたい。
理乃にも声をかけてから、私は祐の元へと向かった。
「さっさと帰るぞ!買い出し頼まれてんだからな!」
「りょーかい!」
そういえば、最近祐と帰ること多いなー。
この前の入学式も、祐と帰る予定だったからクラス会行けなかったし。
祐はクラスに友達できたのかな?
あ、そうだ!
「ねぇ、祐」
「ん?なに?」
「彼女出来た?」
「は!?な、なんだよいきなり!」
ちょっといきなりすぎたかな。
「いやー、ちょっと気になって」
「なんだよそれ!いねーっつの!」
そうなんだ。つまんないのー。
「…まあ、好きなやつならいるけど?」
え…!?
驚いて見た祐の顔は、心なしか少し赤くなっているように見えた。
そっかー。いるのか…。
あれ?なんだろう。この悲しいような、寂しいような気持ち。
「そういうお前はどうなんだよ」
「え?私?」
聞き返されるなんて思ってもなかった私は戸惑ってしまった。
「さっき教室でしゃべってたやつとか、仲良さそうだったじゃん」
さっきって…あぁ!奏也か!
「奏也はただの友達だよ!」
私がそう言うと、なぜかイライラしていた祐の力が抜けたような感じがした。
「なんだ、そっか」

