「はやく行ってやれよ」
…さすが賢人。全部お見通しだね。
「賢人、私うれしかったよ!ありがとう!」
私は賢人にそれだけ言うと後夜祭が行われている校庭に向かおうとした。
けど、途中で方向転換して別の場所に向かった。
「ハァ、ハァ」
目的の場所に着いた私は辺りをキョロキョロと見回した。
やっぱりいた!
「奏也!」
この体育館のステージの上にいる奏也の元に駆け寄る。
「え!ななみん!?どうしてここに!?」
「そんなの決まってるじゃん!ちゃんと私の言葉で返事をするためだよ!」
「…ななみん、どうしてわかったの?
あのセリフが僕の本音だったって」
「運命の人だもん、それぐらいわかるよ!」
『私は、あなたをこんなにも愛おしいと思っているのに。
どうすればあなたに伝わるのですか?』
あの奏也のセリフを聞いた瞬間、私の中を何かが駆け巡った。
ああ、運命ってこういうことを言うんだなってその時思ったんだ。
そして、賢人のことは好きじゃなかったんだなと気づいた。
「あのね、私もついさっき気づいたんだけど、
私、奏也のこと好きになってたみたい!」
「え!?ななみんほんとに!?」
「嘘つかないよー!」
いつからかわからないけど、自分でも無意識のうちに気になってたんだなって今になってよくわかる。
「じゃあななみん、僕と付き合ってくれませんか?」
「喜んで!」
私たちはこうしてめでたく結ばれた。