「私の運命の人は、いったい誰なの?」
「それはもちろん私でございます、姫」
奏也が出てくる方を見ると、そこには衣装を着て颯爽と歩く奏也の姿が。
ドキッ
「本当に?ではあなたがそうであるという証拠を見せて」
「かしこまりました」
私の目の前まで歩いてきて立ち止まる奏也。
「姫、失礼します」
肩に手を置き、ゆっくりと引き寄せる。
そしてそこに邪魔者が入る。
うん、台本通り!
けど、胸のドキドキがずっと止まらない。
さっきも練習通りだったのに衣装のせいか恥ずかしく感じてしまった。
話は進み、ラストシーンへ。
「姫、私は嘘などついていません。この気持ちは本物です」
「いや!離して!もう誰も信じられない!」
「待ってください!」
「やめてっ…」
手を振りほどこうとしたその時!
えっ!
この前と同じように力強く引っ張られた。
「もう…離しません。どこにも、行かないでください」
すごい。ほんとに奏也の気持ちがリンクしているみたい。
奏也は練習通り体を少し離すと、手を置いたまま私を見つめて…口を開いた。
「私は、あなたをこんなにも愛おしいと思っているのに。
どうすればあなたに伝わるのですか?」
「…今の言葉で、十分だわ。どうやらあなたが運命の人だったみたいね」
そしてキスシーンを影で写して、劇は幕を閉じた。

