〜賢人side〜
言ってしまった。
あー、なにやってんだ俺は!
これで明日七海が集中できなかったらどうするんだよ!
…言うつもりはなかった。
ただ、七海の王子役を1度でいいからやってみたいと思っただけだった。
それなのに、劇が進むに連れて自分の感情がコントロールできなくなって、あんな風に抱きしめてしまった…。
そしてその勢いのままに言ってしまった。
けど、俺だってそろそろ限界だった。
奏也には悪いけど、俺はもう、引き下がらない。
あとは明日の返事を待つだけだ。
〜七海side〜
結局、1晩考えたけど結論は出なかった。
けど、賢人がかっこいいなとは思うし、ドキドキすることもたくさんある。
やっぱり好きなのかな?
それとも、好きじゃないのかな?
自分の気持ちがほんとにわからない。
なんて返事しよう。
賢人と付き合ったらすごく楽しそうだし幸せそう。
だけど、好きかどうかもわからないのに付き合うなんてできないよね。
「どしたの、なな」
「へっ?」
あれ?もう学校着いてた!
ぼーっとしすぎだな、私。

