「私の運命の人は、いったい誰なの?」
「それはもちろん私でございます、姫」
えっ!
この声は…
「七海、続けな」
賢人!?
「本当に?ではあなたがそうであるという証拠を見せて」
「かしこまりました」
賢人、もしかして王子のセリフ全部覚えてるのかな?
賢人はゆっくりと私に歩み寄った。
この後王子はキスしようとするんだけど邪魔が入るのよね。
「姫、失礼します」
賢人は私の肩に手を置き、ゆっくりと私を抱き寄せる。
えっ?これどこまでやるの?
今邪魔する役はいないから、このままだと…!
「ちょ、賢人?」
賢人はそのまま抱き寄せて、腕を私の背中に回し、抱きしめた。
えっと…どうすれば…。
「私が運命の人であるかどうか、わかりましたか?」
なにそのセリフ!
急にふられても返せないし!
ていうか、近いよー!
「ふっ、わるいわるい。ちょっとからかいすぎたな」
私が固まっていると、賢人は腕を解いてくれた。
「もう!焦ったじゃん!」
心臓がバクバク言ってる。
「だからわるかったって」
私の心臓がこんなにうるさいのは、単に距離が近かったからじゃない。
あまりにも、賢人の眼が真剣だったから。
まるで本当に賢人の言葉としてそう言ってるかのように感じてしまったから。
「ねぇ賢人、どうして王子のセリフ全部覚えてるの?」
「ん?ああそれは、奏也に頼まれたからだ」
えっ、奏也に?

