「…ありがと」
私も照れながらお礼を言った。
「じゃ、やるよー!」
そしていよいよリハーサルが始まった。
夏休みの練習の時はなかった小道具や大道具が完成していて、かなり見応えのあるものになっていた。
そろそろ奏也の出番!
って…あれ?奏也は?
「高橋くんは!?」
クラスの子もあたふたする。
「ごめんごめーん!」
と、そこへ制服姿の奏也が来た。
「高橋くん!衣装は!?」
「それが、さっき衣装着て歩いてたら他クラスの子とぶつかって、その子が持ってたペンキがべっとり付いちゃってさ!」
ええ!?
「生地はあるらしいから今大慌てで作ってくれてるよ!明日には間に合うって!」
よかったぁ。
「しょうがないね。じゃあ今は制服で」
「はーい」
ということで、奏也の衣装以外は本番同様にリハーサルできた。
「よし!これなら大丈夫ね!みんな、明日がんばりましょ!」
「「「おおー!」」」
その後、大道具を邪魔にならない場所に片付けたり機材の最終チェックをしたりして下校になった。
「なな!明日がんばろうね!」
帰り間際の理乃が声をかけてくれた。
「うん!がんばろ!バイバイ!」
「バイバーイ!」
さて、私も帰ろうかな…。
けどやっぱり最後に体育館で発声練習しとこうかな。
今の時間はうちのクラスが使っていい時間帯だったよね?
私は体育館に入りステージに登った。

