そして数日が過ぎ、夏休みが終わった。
劇の練習はかなり上達していて、これはいけそうだとみんな喜んでいた。
「ななー!久しぶりー!」
「理乃!」
理乃とは夏休みに数回遊んだ。
その時に、祐のことは全て話した。
「いろいろ思うこともあるだろうけどさ、文化祭に集中してれば大丈夫!」
「うん、ありがと理乃」
そして更に1週間が経過し、いよいよ文化祭前日。
「今日は通してリハやるよ!衣装も着て!」
言われた通り衣装を着て髪もアレンジしてもらう。
「すごい!石川さんちょーかわいいよ!写真撮っていい!?」
「ななかわいー!!」
「ほんと?ありがと!」
正直、こんなピンクのドレス恥ずかしいんだけど…。
でも似合うって言ってくれてるし、いっか!
劇の会場である体育館に入ると、
「やばっ!ちょーかわいいじゃん!」
「あれ石川さんだよな!すげー!」
男子の興味津々な眼が少しつらかった。
舞台袖に入ると、そこには裏方仕事をしている賢人の姿が。
「あ!賢人!みてみて!」
私は賢人にどう?とドレスアップした姿を見せた。
すると賢人は顔を赤くして、
「…かわいい」
とかなり照れくさそうにほめてくれた。
実は賢人は意外と女の子に慣れてないみたいだと私は最近気づいた。
だからきっと、今のも素直な反応だと思う。
けどなんか、今の言い方は聞いてる私も恥ずかしかった。

