「ななー!」




私の名前を呼びながらきてくれたのは、小泉理乃(こいずみりの)。




私が高校で初めて友達になった子で、お昼や移動はこの子と一緒にいることがほとんど。




「さっき数学あてられてたね!でも高橋くんたちに助けられてよかったねぇ!」




「うん!全然わかんなかったから焦ったよー。奏也が寝ててくれてよかった!」



私がそう言うと、「でもさ、」と理乃が続けた。



「もしかしたら高橋くん、わざと寝たふりしたのかもよ?ななを助けるために」



「私のために?まっさかー!それはないよ!たまたまだって!あの奏也だよ?」



「うーん、それもそうか!でもななたちほんとに仲がいいから、もしかしてってちょっと思っちゃった」



「ないない!仲良くなったのだって、ノリみたいな感じだったし!」




そう、実は私はあの2人と成り行きで仲良くなった。



私から見れば、あの2人仲いいなって思うんだけど、第3者から見ると私を含めて、あの3人仲いいな、と思うらしい。



私の一番は理乃なんだけどなー。




けど、私と理乃には大きな違いが1つある。




それは、私には彼氏がいなくて、理乃には彼氏がいるということ!



しかも同じ高校で、関係を秘密にしているわけでもない理乃は、たまにお昼を彼氏と一緒に食べたりする。



そんな時はあの2人ーー奏也と賢人とご飯を食べたりもする、けど…




「だいたい、なんであんなウソついてまで私と行きたがったのか未だにわかんないし!」




「あぁ、入学式の次の日だったっけ?」




「そうそう」