〜奏也side〜
「ストップ!高橋くんすごい!今かっこよかったよ!」
クラスの子の声でハッとした僕はすぐさまななみんから離れた。
「ほんと?じゃあこんな感じでやろうかな♪」
そしてすかさず笑顔を向けた。
はぁ、危なかった。
僕としたことが…。
さっきのななみんの反応。
明日は友達と遊ぶわけじゃないみたいだった。
しかも嘘をついたってことは、もしかするとあの幼なじみくんとデートでもするのかもしれない。
まあ僕の妄想でしかないんだけど…。
でも1度そうかもと思ったら気持ちの歯止めが効かなくなっちゃって。
気づいたら普通にななみんのことを抱きしめていた。
ななみんもびっくりしただろうなー。
引かれてないといいけど…。
〜七海side〜
さっきの奏也はなんだったんだろう?
あの後再開した演技はいつも通りに戻ってた。
違ったのはあの一瞬だけ。
しかも、セリフがやけにリアルに聞こえたんだよね…。
気のせいかもしれないけど。
そしてなにより驚いたのは、
あの瞬間に奏也にドキッとしてしまったこと。
でもあんないきなり抱きしめられたら誰だってドキッとするよね!?
いつもみたいに腕をまわすぐらいなら動揺しなかったのに。
「ななみん!またね!」
「うん!バイバイ奏也!」
いつも通りのまま奏也は帰ってしまった。
うーん、ま、いっか!
今はまず明日のことを考えなきゃ。
明日、返事をしようかな。

