『もしかしたら高橋くん、わざと寝たふりしたのかもよ?ななを助けるために』
この前理乃に言われた言葉をふと思い出した。
まさか、そんなはずないよね?
けど、もしかしたらほんとに、
ほんとに私のために…?
授業が終わると、私はすぐ奏也に詰め寄った。
「奏也!いつからあんなに頭良くなってたの!?」
「ななみん顔怖いよー?たまたまだよ、たまたま!」
「なーに言ってんだか、テストもクラストップだったくせに」
賢人が後ろから文句を言う。
「え!?この前の中間テスト!?そうなの!?」
てっきり賢人が1位かと思ってた…。
「んー、バレちゃったか。あんまり目立ちたくなかったからちょっと隠してたんだ♪」
ほんとに、そうなんだ。
「じゃあこの前の数学もわざとわかんないふりしたの?」
「まーね!その方が僕のキャラに合ってるし」
けど、わざわざそんなことしなくてもいいのに。
「じゃあ、この前も今日も寝たふりしてた?」
「さ?それはどーだろーね?」
ニコッと微笑む奏也。
え、えっ!?
かわいい!けどなにこの小悪魔感!
なんで否定も肯定もしないのよー!
ほんと、わけわかんない!

