「ありがとう、皇くん。」
私が言うと。

「皐月。」

「えっ??」
ビックリしてジッと見上げると。

「俺も由梨ちゃんって呼びたいから、俺の事も名前で呼んで。」
うぇぇぇ~?

「ダメ??」
なんて言われて、嫌なんて言うひとがいたら、おめにかかってみたい‼

フルフルと首を振ると、更に真っ赤になったであろう私は。

「ありがとう……皐月君。」
名前で呼べる嬉しさで、ニッコリ笑って言った。

シン……と静かな教室。

あっ‼と思った私がオロオロしていると。

ボソッと皐月君が何かを呟いた。

「えっ?」
私が聞き返すと。

「あっ、いや、その……。どういたしまして!また困ったら、俺に言ってよ‼絶対だよ!」
そう言って、ポン……と頭に皐月君の手のひらを感じた。

「分かった??」
覗きこまれた私は、もう嬉しいやら恥ずかしいやらで、飛んでいけそう……。

真っ赤なままコクコク頷くと。

「よし‼」
とまたポンポンされて、皐月君が席に帰っていった。

とたんに騒がしくなる教室。

あぅあぅ……。
私は遥ちゃんの所に戻った。

「良かったね、由梨。なんか2人の世界って感じだったよ!」

遥は、私が皐月君を好きな事を知っている。

真っ赤になりながらも。
「うん‼」
と、フニャって笑ったら。

「ふふっ、由梨可愛い♥その顔は、皇くんに見せてあげなさいね。」
と頭をナデナデされた。

あいかわらず教室の中はザワザワしているけど、何を言われてるかまでは分からない。

きっと皐月君ファンは怒ってるだろうけど……。

それでも、やっぱり嬉しかった。