本当はあたしじゃないのに…


ノートの名前をこっそり見るとそこには速水 瞬(はやみ しゅん)と書いてあった。


あたしは斜め後ろを向いて


「ありがとうございました…助かりました…」


と、頭を下げた。


「いえいえ」


そう笑顔で返ってきた。


うー、かっこいい…。


あたしは顔が真っ赤になりながらも前を向いた。


そしてすぐにチャイムはなり授業は終わった。


そういえばあの天使くんにもう一度お礼したい。


あたしはそう思いもう一度話しかけようとした。


のに…。


「おい」


「え?」


「ノート見せろ」


話しかけてきたのはやっぱり悪魔緑。


「なんで?書いてないの?」


「うるせんだよ。いいからさっさと見せやがれ」


「そんなー」


あたし元から字うまくないし、こんなの見られたらどうせまたバカにされるだけだもん…。


と言うか、あなたの隣には天使くんがいるじゃないか。


頭いいし天使くんから見せてもらってよ。


「早くしろ。殺すぞ」


「は、はーい…」


まだ死にたくありません。


仕方なくあたしはノートを渡す。


そもそもなんであたしが…


この人に指図されなきゃいけないの…。