だけど、あたしの考えていることはイケメンに分かるはずもなく。
彼は楽しそうに話を続ける。
「ここ、しばらく空き部屋で寂しかったんです」
そして、
「仲良くしてください」
いきなり仲良くしてください宣言。
ぜひぜひ、あたしもイケメンと仲良くしたい。
だけどこのイケメン、どこの誰かも知らないし……
「あたし、川島千草です。
農学部二年生です」
自己紹介すると、イケメンもキラキラスマイルで応えてくれる。
「俺は八代諒太(やしろ りょうた)、社会学部二年生です。
……って、同じ学年なんだね」
八代諒太!?
あたしはその名前を聞いてびっくりした。
社会学部の八代君、噂に聞いたことがある。
イケメンだって。
校舎の違う農学部のあたしでも知ってるんだ、八代君、きっとモテモテなんだろう。
あたしの隣人が、モテモテ王子!?
あたしの波乱の下宿生活が幕を開けた。
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