麻里子は、真一と関係を持つうえで、彼には『守るべきもの』があることも熟知していた。 申し分ない家庭的な妻、私立に通うふたりの子供、そして会社では、そこそこの地位。 さらに言うなら、都内の高級住宅街にかまえる新築の一戸建て。 麻里子自身の守るべきものと、真一が背負っているものは桁が違いすぎる。 だが麻里子は、真一との不倫に後ろめたさはなかった。