ガラスのハート


 しばらく飲んでいると、麻里子が声をかけてきた。

「すみません。ライター、ありますか」

 真一が驚いて振り向くと、戸惑い顔の麻里子がこちらを見ている。

 右手には火のついていないタバコ。と同時に、綺麗に爪に塗られたラメたっぷりのパープルのマネキュアが、バーの照明に反射し、きらりと光った。

「ライターを忘れてしまいまして…」