「なによ!」 「『誰も見てなかった』んだ」 「え」 「目撃者は、いない。僕たちが捕まる可能性は、限りなく低い。この時間帯だ。とにかく、早くあの場所を離れることが先決だ。良いね」 その口調は、まるで自分に暗示をかけるような 言い聞かせるような言い方だった。