いや、違う。 この人が落としたんけど。 「はい。 これあげるよ。欲しかったんでしょ?」 優しい笑顔に少し違和感を感じる。 私が何も言えずにいると、 半ば強引に私の手の中に握らせた。 自分と同じぐらい、 もしくは年上の男の人の手なんて 振り払えるわけない。 力で、かなうはずなんて無い。 だからぎゅ、と抑えられている私の手は どうすることもできず。 仕方ないからもらうことにした。 「ありがとう、ございます……」 「いえいえ。 きみ、名前は?誰と来てるの?」