私が彼を好きになったのは、些細なことだ。 入学式の日。たまたま目が合って、 彼が笑いかけてくれた。…それだけのことだ。 けど。自分から誰かを好きになったことの無い私は、 ―――ドキドキがおさまらなかった。 それからは、同じクラスでひっそり喜んだり、 話しかけるチャンスなんていくらでもあったのに。 (わたしの、意気地なし。)