君への唄

ぽろぽろと彼女がこぼす涙で僕は、ずぶ濡れになった。
とめどなく流れるそれを拭えないことにもどかしさを感じつつも、同時に幸せを感じた。



ありがとう…

君は僕に気付いてくれたんだね。それだけでも嬉しいよ。

前を見て生きておくれ。僕に捕われずに…
僕はもう何もしてあげられないから。


僕の意識はそこで切れた。






ずっと昔、祖母に聞いた話だ。
こんな話を聞いたことがあった。