君への唄

地面を車輪が通る音がした。視界に入ったのは1台の車椅子だった。

僕の前で止まると、乗っている人物がじっと僕を見ていた。



「もう寿命なのね。最近よく鳴いてたのはこの子かしらね?」


「あの人だ…」

車椅子から落ちるように降りると、彼女は僕をそっと拾い上げた。

「何言っているの?あの人はもう何年も前に…
それに、それはただのせ…」


「ちがう!!!姿を変えて私に会いに来たのよ。私には分かる。
ようやく来てくれたのね…。」