君への唄

君を見付けたのは、夕方近くなってからだった。

部屋の中にいた君はすこし大人っぽくなっていた。
けれど何故か冴えない顔をして、白い壁の一点だけを見つめていた。
あの頃のような笑顔はなかった。




どうすれば気付いてもらえるだろう…?

そうか、唄を歌えば僕が分かるはずだ。
あの頃よく歌った、君の大好きなあの唄を。


四年振りに僕は唄を歌った。