3人が帰ると、急に部屋の空気が変わった。あたしと翔斗の会話がある訳でなく、カチコチと時を刻む時計の音だけ。



時計は11時をもうすぐ差す。



でも無意識にあの急に襲ってきた頭痛を思い出したり、今度は夢の中であの人が出てきたと思ったら



いつもなら眠くなるはずなのに怖くて目を瞑りたくない。



「翔斗」



こわい、こわいよ。



あたしは少し震えた声で彼の名前を呼んだ。



「ごちゃごちゃ考えんな。確かに魔法はかけた奴しか解けねぇって言ったけど



お前の場合はこっちに連れてきた奴を探しだした瞬間魔法は解かれる」



コトンとあたしに白いマグカップの取っ手を向けた。



マグカップからはおいしそうなチョコレートのにおいと白い湯気がたっている。



「これってココア?」