「あぁ…あの場所で最初から最後までやらせたもらったのはこれだけ。
このケーキも何度も作ってはボツになってはの繰返しだった」
「そんなケーキをどうしてあたしに……」
横を向いていて話していた翔斗と目が合ってしまった。
あっ！口が勝手に……。
「さぁな。いいからケーキをよこせ」
「……分かったよ。絶対に捨てたりしないでね」
あたしはしぶしぶ翔斗にケーキの箱を手渡した。
もらった時にはまだ箱だってピンっとしていたのに、だいぶ長い時間持ち歩いてたからよれよれしてきている。
あのケーキどうなっちゃうんだろう。
