「あなた誰なの?」
ガクガクする足、ブルブル震える体を抑えながら勇気を振り絞って聞いた。
こわい、こわい。
でもこのまま逃げたままではあたしはいつになってもこの世界から抜け出せない。
「そんな震えないでよ。俺が誰か知りたい?
だったら教えてやる……」
そして彼は声色を変えて、フードに手を伸ばした。
「俺だよ、未桜ちゃん。
俺がこの世界に無理やり連れて来たんだよ」
フードを取って素顔を見せた彼はあたしにとって予想外の人だった。
彼はあたしが見たこともないくらい冷たい顔をしていて……。
「なんで……なんで尚くんが」
あたしは後ろに一歩一歩後ずさりをした。

