ボウルや電動ミキサーを出して、冷蔵庫から生クリームを出して翔斗は本当に教えてくれるみたい。
もし、もしも翔斗がこうやってあたし以外の誰かと寮で一緒に住むことになって
今のあたしと同じようにいつも一緒にいて
下の名前で呼んで、厳しいけど自分の時間を割いて特訓もしてくれて
何かあったらすぐに一番に心配して助けてる姿を見てしまったら……。
そんなの絶対に……。
「……っ、い……や」
考えただけでも辛くなる、怖くなる。
いつもそばにいてくれたから他の人の存在なんて……。
翔斗、尚くんが言ってた“初恋の人”がいたとしてもあたしは翔斗のそばを離れたくないよ。

