「大丈夫か?やけどしたりしてないか?」



考えていた罵声ではなく、あたしを心配する言葉で一瞬びっくりすると今度は涙があふれてきた。



そんな今、優しくしないで……。



「は?なんで泣くんだよ?」



と翔斗は混乱しながらあたしがしていたミトンを取ってやけどがないか両手を確認している。



「……っ、大丈夫、どこも何ともないから。



今はケーキの方が大事だから。作業に戻って」



あたしの言葉を聞くと翔斗はあたしの肩を掴んで引き寄せてきた。



「……分かった。



でも、いいか。何があったかは後で絶対聞くから。絶対に」



あたしはコクンと頷いた。



翔斗は頷き返すと、ミトンをして落ちてしまったケーキを掴んでケーキクーラーの上に載せた。